自分に出来ることを
クルマは購入してからがお付き合いの始まり。
以前この課題解決事例でも、そうお話をしました。
だからこそ、営業スタッフが決め手で「この人から買いたい」と思うお客様も多くいらっしゃいます。
しかしながら、営業スタッフにしか課題解決が出来ないわけではないのです。
今回活躍するのは、営業スタッフではありません。
しかし、店舗スタッフの寄り添った提案により、固まった考えを解決できた事例です。
お客様のために、自分に出来ることを追求した結果とは。
このお話は、Aさんが愛車の4年半の点検のためにお店を訪れたことから始まります。
Aさんが乗っているクルマは日産デイズルークス。
通勤の他に、お母さんやペットを連れて、オデカケをするために使っています。
ルークスを購入したのは4年前のこと。
Aさんのお母さんから営業スタッフを紹介してもらったことがきっかけで購入しました。
お母さんを含め、営業スタッフとはもう20年以上のお付き合い。立派なお得意様です。
そんなAさんですが、デイズルークスは残価設定型クレジットローン(残クレ)で購入しました。
残クレで購入する場合は契約時に決めた残価を支払い、クルマを買い取るか、残価を支払わずにクルマを手放すかを選ぶ形となります。

最終回は今から半年後。
決断が近づいてきている中での来店でしたが、ここでアクシデントが。
お店の来店が多すぎたのです。
この日は土曜日の午前中。お店に最もお客様が多い時間帯でした。
営業スタッフは来店したお客様と商談中。
ろくに話せず、点検を一人で待つことに。
そこに、お店の工場長が現れます。
店長と並ぶ、お店の整備工場の責任者です。
点検の結果、タイヤの溝がすり減っており、タイヤの提案のためでした。
「タイヤ、高いねぇ。他のタイヤもないですか?」
見積りを見たAさん。
工場長から提案されたタイヤは予算オーバーのため、別メーカーでもう少し安いタイヤがないかを尋ねます。

「本日はタイヤ会社がお休みのため、週明けでよければ、お見積りを出せます。
それより、残クレの最終回のお話は、どなたかにされていますか?」
工場長はAさんにそう伝えました。
実は見積もりを作る際、Aさんの残クレ最終回を気にしていた店長が、工場長と話をしていました。
「特にしていないですね。」
Aさんがそう考えると、工場長はタイヤ交換の提案を辞め、店長を呼びに向かいました。
整備の面で言えば、タイヤ交換をする方が利益になります。
しかしながら、それを提案するだけではお客様のためにはなりません。
状況によっては、クルマを買い替えた方が最適解になるかもしれないからです。
交代した店長。 まずはAさんに買い替えの意思がどれだけあるかを確認します。
実は今から半年前、営業スタッフが最終回の意向について尋ねたときは「まだ乗る」と答えていました。
Aさんにとっては初めての残クレ。クルマを長く乗ることが、Aさんにとっては当たり前のことだと考えているからです。
クルマをすぐに買い替えてしまうのは勿体ない。
Aさんには、そのような考えがあるようでした。
「今はタイヤだけですが、バッテリーに車検代がかかります。
デイズルークスを乗り続けるのであれば、買い取るのにも金額がかかります。」
店長は具体的な金額を伝えながら、今後乗り続ける上でかかる費用を伝えていきます。
「買い替えても、いいのかなぁ。」

説明の後、Aさんから出てきたのはそんな言葉でした。
長く乗ることは損すること。悪いことである。
知らず知らずのうちに、Aさんはそんな考えに囚われていたのかもしれません。
5年という、Aさんにとっては短い期間でクルマを買い替えることは、Aさんにとっては罪悪感のある行為でした。
そんな考えを、店長が少しずつ解きほぐしていきます。
「新しいクルマ、見てみませんか。」
Aさんは、デイズルークスの後継機である日産ルークスを試乗。
お母さんやペットも乗せることになるクルマです。
乗り心地は気になりますが、試乗で気に入ることが出来ました。
最終的には、デイズルークスを購入した時と同じ「青色」が決め手になり、翌日クルマの購入に至りました。
営業スタッフは、今回の件をこう語ります。
「今回はたまたまが応対出来なかったけど、結果としてよかったかもしれない。
付き合いの長い僕がタイヤの値段を言っても、『何言ってるの』って笑われてたかも。
工場長と店長がキチンと説明してくれたからこそ、Aさんも考えが変わったんだと思う。」
担当営業がどんな時もお客様を対応できるとは限らない。
突然の来店の場合は休みのこともあるし、突然のクレームに追われているかもしれない。
だからと言って、お店はお客様の最適解を諦めてはいない。
自分に出来ることの積み重ねが、時としてお客様の「より大きな成功」に繋がると信じて。