e-POWER、ここが強い/ここが弱い

日産独自のハイブリッドシステム「e-POWER」、ガソリンエンジンとモーターを融合した電動パワートレインは、ノート、オーラ、キックス、セレナに搭載されています。電気自動車のようなレスポンスのよい静かな走りが楽しめる車として、多くのお客様に選んでいただいています。その「e-POWER」、登場から約7年が経過しています。

「e-POWER」を、お求めになるお客様は、試乗車でその走りの良さを体感しご購入いただくことが多いのですが、購入・納車後のお客様のカーライフシーンでは、試乗時に感じることが出来なかった違った特性や現象に出会い、小さな違和感を持たれる方もいらっしゃると思います。

小さな違和感が不満やストレスにならない様、カタログでは説明されない「e-POWER」のお話をさせていただきます。


「e-POWER」デビュー

日産初代ノートがデビューしたのは2005年、世界戦略車として登場しました。初代モデルが発売された当初は1.5リッターエンジンを搭載していました。

そして2012年にデビューした2代目モデルは当初1.2リッターノンターボエンジン。そして1.5リッターエンジン並みのパワーが自慢の1.2リッタースーパーチャージャーモデルの2本立てでした。

その後2016年のビッグマイナーチェンジでシリーズ初のハイブリッドモデル「e-POWER」が追加されました。日産としては数十年ぶりに登録車の販売台数1位に輝くなど、人気車種としての位置付けになりました。その後、e-POWERはノートのみならずセレナやキックスにも採用、2022年に発売されたエクストレイルには、第二世代のe-POWERが採用され、今やe-POWERは日産の代名詞となっています。


「e-POWER」のメリット

日産のe-POWER、ガソリンエンジンとモーターを併用したハイブリッドシステムで、以下のようなメリットがあります。

①長距離走行が可能

モーターによる走行に加えて、ガソリンエンジンが発電機として働き、バッテリーを充電するため、外部からの充電が必要なく長距離走行が可能です。

②ガソリン車に比べて省燃費

排気量の小さなガソリンエンジンが効率的に発電してモーターで走行するため、ガソリン車に比べて燃費が良いです。

③電気自動車のような加速性能

モーターによる駆動で走行する為、電気自動車と同等の加速性能があります。

④静かな走行

モーターによる駆動がメインのため、静かな走行が可能です。

⑤エンジン以外のバッテリーへの充電が可能

エンジンが回転しない状態でも、ブレーキをかけた減速時は回生ブレーキにより、バッテリーに充電できます。

☞ちょっと解説「回生ブレーキ」

回生ブレーキは、駆動輪とつながっている駆動用のモーターが発電機となっていて、減速時に発電機を回して電気を発生させ、その際の抵抗力によりブレーキがかかります。その発電機で作られた電気を、モーター駆動専用のバッテリーに充電して、加速時などに駆動用のモーターを動かします。

⑥環境にやさしい

ガソリンエンジンとモーターを併用することで、燃費が向上し、環境負荷を減らすことができます。


「e-POWER」のデメリット

メリットを先にお知らせしましたが、デメリットもあります。デメリットは、欠点・短所という意味がありますが、ここでの説明は性能的に劣る意味合いではありません。

普段乗では持たない違和感、しっくりこない現象として、お話しさせていただきます。

①高速道で、良い電費(燃費)で走行することは苦手です

e-POWERは燃費の良さが売りです。

一般道を時速30~60kmで流す程度であれば、e-POWERの得意とする高燃費が期待できます。車はある程度は惰性で進むため、エンジンを使わなくて済み、その結果、高燃費を記録することもあります。

しかし、高速道を時速100kmで走行となると、そういうわけにはいきません。

クルマが前に進むには、空気抵抗、走行抵抗、駆動抵抗と釣り合う駆動力が最低限必要となりますが、常に駆動力をかけ続けるような走行が、EVは苦手(電力を大きく消費)です。高速道を走行すると燃費が伸び易いガソリンエンジンのクルマとは、まったく異なります。

また、回生ブレーキを使う頻度も関係してきます。一般道ですと、赤信号で止まる時、車間距離が詰まってきてアクセルペダルを離して減速した時や、ブレーキを踏んだ時に、回生ブレーキが発電をしてバッテリーに充電をします。一般道では、加速~減速~停止の繰り返しで、その都度、回生ブレーキで発電・充電出来ますが、高速道ではそうはいきません。

解決策としては、高速道では時速80km程度となるようアクセルオフを多用して走行するのと回生ブレーキで充電もできて、電費が良くなるそうです。

②コンパクトカーとしては割高に感じることが有ります

エンジンとモーター、それにバッテリーを装備していますので、車両価格がガソリンエンジンだけの車種と比べると、割高に感じてしまいます。

但し、燃費がいいので維持費、税金等でメリットはあると思います(お客様の使い方、走行距離によって変わります)。

③ワンペダルの好き嫌いが分かれるかもしれません

ワンペダルが装備されている車種に限ります。

このワンペダルというのは斬新な機能です。簡単に言うと、アクセルペダル操作だけで発進~減速~停車の操作が可能です。停車時は安全の為、フットブレーキの使用が必要です。ブレーキペダルを踏む必要が停車時以外ないので、減速しながらの右左折が楽ちんです。長距離ドライブ時も、ブレーキを踏む回数が減りますし、下り坂でのブレーキを踏むことが少なくなり、疲労を軽減します。ワインディングロードなどは、ブレーキを踏むことなく左右に車体が振られることが減り運転が上手になった感覚になります。

ワンペダル走行は、人によっては合わないこともあります。特に、車酔いに弱い方は、ワンペダル操作による加減速による車揺れが気になると思います。また、操作に慣れるまで少し時間がかかるという点がデメリットとしてあげられます。これに関してはメリットともいえるため、好き嫌いの問題とも言えるかもしれません。

④長い下り道で、回生ブレーキ使用で起きる現象

長い下り道ではアクセルを踏む機会が減り、逆にブレーキを踏む回数が増えます。ブレーキを踏むと回生ブレーキよりバッテリーに充電されます。充電が進みバッテリーがフル充電状態になると、回生ブレーキの効き目も悪くなります。

雪道の長い下りで、低速度で走らなければならない場合、回生ブレーキの効きが悪くなります。フットブレーキを踏んで減速しようとすると滑る可能性がありため、少し危険だとも感じるユーザー様もいらっしゃいます。

⑤エンジン音が気になるシーン

高速道の走行中は、モーターで電気を使いっぱなしになりますので、バッテリー充電の為に、エンジンがいつもより長時間かかるため、エンジン音が気になります。

また、下り坂でバッテリーがフル充電になると、エンジン音が大きくなり気になる事もあります。

低速時、バッテリーに電気が少ないと、短時間で電気を貯めようとするためか時々大きくうなりながらエンジンが回ることもあります。

⑥メンテナンス

モーターで走る電気自動車ですが、充電の為のエンジンを搭載しています。EVはエンジンが無いのでエンジンオイル交換不要ですが、e-POWERはガソリンエンジンのメンテナンスも必要なので、EVに比べるとメンテ費用が割高です。

⑦回生ブレーキがかかる際は、ブレーキランプが点灯します

ワンペダルで走行中、アクセルペダルから足を離すだけで回生ブレーキがかかります。

その際、一定の減速度(1.3m/s2を超える場合)は、ブレーキランプが点灯します。ブレーキランプの点灯は後続車への注意ですが、ワンペダルを乱雑に踏んだり離したりすると、ブレーキランプが頻繁に点灯しますので、後続車への配慮が必要です。

⑧ e-POWER以外のクルマに乗る場合

ワンペダルになれたドライバーが、e-POWER以外の車に乗る場合は、注意が必要です。ワンペダル使用でブレーキを踏んで減速する習慣が薄れていますので、減速時や止まる時は、フットブレーキを使う事を忘れないでくださいね。


最後に

どんな車でも、その車の特性により、メリット/デメリット(言い換えると、得意・不得意)はあると思います。e-POWERのデメリット部分をあらかじめ知っておけば、運転していて戸惑うことは少なくなると思います。

小さな違和感を持たれた際は、何なりと弊社カーライフアドバイザーにご相談ください。

文末になりますが、あなたのカーライフが、より豊かに、より楽しくなることを願って、あなたにクルマ選びの最適な提案をさせてください。よろしくお願いいたします。

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