「価値」を「知る」
インターネットで情報を簡単に入手できる現代。
「情報そのもの」よりも、「情報の選び方」のほうが大切になってきています。
自分に合った情報はなにか。その情報に嘘はないか。
今回は、営業マンによる情報提供のお話。
最適なクルマ選びを提供するために、時に営業スタッフは情報の内容だけではなく「タイミング」すらも重視します。
営業スタッフから提案される、情報の価値とは。
「コンパクトカーを見に来ました。」
来店したAさんは、営業スタッフにそう伝えます。
今乗っている軽自動車は今年で10年目。
夫婦2人で1台に乗っており、買い替えの際には同じ軽自動車ではなく普通車を検討しました。
今回見に来たクルマはノート。
コンパクトながら、e-POWERの力強い走りが人気のクルマです。
営業スタッフは、新しく購入するクルマの用途を聞いていきます。
Aさんの家ではワンちゃんを2匹飼っており、休みの日は一緒にドライブに行きたいとのこと。
「僕の実家でも、犬を飼い始めたんです。 実家に帰っても、僕より犬のが可愛いみたいで。」

営業スタッフは、あえてクルマの話をせず、取り止めのない話をしていきます。
不必要な情報を一方的に押し付けても、お客様に圧を与えるだけ。
営業スタッフはそれを知っているからです。
だからこそ、まずは雑談で、お客様の距離を縮めることからスタートしました。
「そういえば、オーラはノートとどう違うんですか?」
お客様の方から、クルマの話が来ました。
オーラは、ノートから派生して登場した、コンパクトカーでありながらプレミアムを追求したクルマです。
ノートを検討する場合は、必ずといっていいほど比較検討されます。
Aさんも、ノートを検討する際、オーラの情報は目にしていました。
「オーラとノートでは、エンジンのかかる頻度も、エンジンの音も違います。」
営業スタッフは、ノートとオーラの違いを説明しながら、ここで初めての提案を行います。
「ワンちゃんと一緒にオデカケするなら、クルマは揺れない方がいいですよね。
せっかくなら、オーラを検討しませんか。」
営業スタッフの提案を受けたAさんご夫婦。
一度は検討していたものの、ノートを検討した理由はオーラの値段の高さにありました。
「でも、オーラって高いですよね?」
そんな質問に、営業マンは答えます。
「確かに高いです。ですが、ノートを快適に乗ろうとオプションをつけると、オーラと価格差は縮まっていきます。
オーラを選択するのはコスパの面からもオススメですよ。」
オーラを検討の候補に入れ、店を後にするAさん。

営業スタッフは、この日は試乗も査定も提案しませんでした。
お客様が「今日」欲しい情報ではないと考えたからです。
代わりに営業スタッフは、メールで情報提供のやり取りを開始します。
カタログだけでは決まらなかった色については、営業スタッフが実車を紹介している動画を見つけ出し、URL共有。
こういったこまめのやり取りで検討が進み、2回目の来店に。
今度は試乗をし、オプションを固めていきます。
しかしながら、他社の検討が思ったより進まず、今日中にオーラに決める覚悟が出来ません。
「今日、いくら安くなっても、持ち帰って考えたいですか?」
営業スタッフからのセリフに、Aさんは「はい」と答えます。
オーラが最適だと判断するのには足りない情報がある。
それを理解できるからこそ、「今日中の無理な契約」を急ぎませんでした。
全てはお客様の最適解のために。
3度目の来店のきっかけは、なんとお客様からでした。
「オーラを第一候補にしました。明日行きたいのですが。」

Aさんご夫婦が悩んだクルマ。
オーラとそのクルマとの間には、実に100万円もの価格差があったとのこと。
にも関わらず、Aさんは3回目の来店で、オーラの注文書にサインしました。
「高い」という理由で一度は検討から外していたオーラをです。
Aさんは、その価格差を考慮してでも、オーラを購入する価値を感じていました。
その価値の裏には、営業スタッフの「提案」と、情報の「適切な提供」があったのではないでしょうか。
欲しい時は欲しい。
いらない時はとことんいらない。
それが「情報」というものです。
お客様にとっての必要な情報は何か。
情報が欲しいタイミングは何か。
それを把握するために、優れた営業スタッフほどお客様の話を聞き、良き「相談役」であろうと努めるのです。